中国におけるプーアル茶業界の最新トレンド

こんにちは、中国茶ライフスタイル文化協会代表理事のゆえじです。

今回は中国の普洱(プーアル)茶業界のあたらしい取り組みを2つご紹介します。

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トレンド① フレーバーティーの開発

プーアル熟茶にメイクイ(バラ科のハマナス)など茶葉以外の素材をブレンドした商品が増えています。

メイクイハッカプーアル


現在、中国におけるプーアル熟茶の主な消費層は40代以上の中年男性です。そこで市場拡大を目的として女性をターゲットにしたフレーバーティー商品の開発が進められています。

▼普洱茶×陳皮 ティーバッグ

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▼普洱茶×菊花 ティーバッグ

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▼普洱茶×ジャスミン 小沱茶

シャス民

▼普洱茶×バラ(メイクイ) 小沱茶

バラ

こうしたフレーバーティー商品には2つの共通点があります。

✔️パッケージがかわいい
✔️ティーバッグなど手軽に飲めるスタイル

美容や健康に意識の高い女性がデスクワークのお供に飲むシーンをイメージして設計されていることがうかがえます。

消費意欲は男性よりも女性の方が強いという調査結果もでていることから、こうした女性たちに受け入れられるようなフレーバーティーを開発することで、プーアル熟茶の市場がさらに拡大することが期待されています。

(おまけ)
例外ですが、ちょっと面白いのがプーアル生茶にジャスミン花をまぜたタイプ。

ジャスミン餅

誰向けに作った商品なのかマーケティング的にはなかなか謎です。
そしてこの茶葉が経年変化でどうなっていくのか気になります(花の香りは抜けてしまうのか…それとも茶葉に残るのか…)

トレンド② 軽発酵プーアル熟茶

軽発酵のプーアル熟茶自体は決して真新しいものではありません。

1970年代、渥堆の技術が開発された当初は試行錯誤する中で軽発酵タイプのプーアル熟茶も製造されていました。

渥堆(あくたい)とは、黒茶の品質を決める大事な製造工程。積み上げた茶葉に水を撒き、空気中の常在菌(微生物)を集め、温度管理しながら発酵させる工程です。烏龍茶や紅茶における酸化酵素による発酵とは異なり、黒茶の場合は酸化酵素、水分、熱、微生物などの要素が関わる複雑な発酵となっています。

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現在は渥堆発酵を経た普洱熟茶といえばしっかり発酵させたタイプのものが主流となっています。

✔️重発酵タイプのプーアル熟茶
▶︎すぐに飲める、経年熟成を待たずとも味わいは穏やか
▶︎経年熟成による変化の余地が少ない
▶︎原料そのものの欠点を加工段階である程度カバーできる

✔️軽発酵タイプのプーアル熟茶
▶︎すぐ飲むには刺激が強い(生茶的な胃にくる感覚)
▶︎経年熟成による変化の余地が大きい、味わいの変化を楽しめる
▶︎原料そのものの特徴が出やすい(茶葉の品質がダイレクトに影響する)

時代が進むにつれて普洱茶愛好家たちの嗜好や要求もどんどん変化しています。近年は、茶葉本来の香りや味わいを引き立てるような風味の普洱茶が求められるようになってきているようです。

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「それなら生茶でいいんじゃないか?」とも思うのですが、必ずしもそうはならないのがおもしろいところ。

若い生茶はそもそも刺激が強すぎたり、経年熟成を経た生茶は高価であったりと必ずしも消費者の需要を満たすものであるとは限りません。

そんな中、軽発酵のプーアル熟茶はちょうど生茶と従来の熟茶の間くらいのポジションを取りつつある印象です。

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▲渥堆発酵の様子

プーアル熟茶を軽発酵で仕上げるのは容易なことではありません。プーアル熟茶は「渥堆」という発酵工程を経ることで茶葉の成分が変化し、穏やかでまろやかな味わいになります。

その「渥堆」を軽めで仕上げるということは茶葉本来の特徴が残りやすい、ということを意味します。つまり、原料茶葉の品質が悪いと、その渋みや苦みなどネガティブな要素がダイレクトに影響してきます。

良質な軽発酵プーアル熟茶を作るには、良質な茶葉と製茶師の技量が試されます。

軽発酵プーアル熟茶の代表格は大益(雲南大益集団)の「丹青」

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味わいは一般的なプーアル熟茶と比べると爽やかで、茶殻もほんのり青みを帯びているように見えます。

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ゆえじの雑感

いわゆる軽発酵のプーアル熟茶はわたしもまだ巡り合ったことがないので個人的にも興味津々です。もちろん茶葉もピンキリなので良質なお茶を手に入れるのはそう簡単ではなさそうですが、いつか出会えるように…心に留めておきたいと思います。

いかがでしたでしょうか?

わかりにくいところ、もっと知りたいことなどご質問やご意見ありましたらぜひLINEでコメント送っていただけるとうれしいです。ほかにも「こんなトピック扱ってほしい」というのがありましたらぜひ教えてください。

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