中国茶2つの“白茶”…その違いをわかりやすく解説

こんにちは、中国茶ライフスタイル文化協会代表理事の越智(ゆえじ)です。

今回の記事のテーマは「2つの“白茶”の違い」です。

中国茶には2つの“白茶”がある!

中国茶の中には大きく分けると実は2つの“白茶”があります。

  1. 六大分類の白茶
  2. 白化茶種の緑茶

1つめの“白茶”は、国家標準「茶葉分類」で規定されている白茶の製法で作ったお茶、いわゆる“六大分類の白茶”です。

六大分類の白茶で代表的なものは白毫銀針、白牡丹です。特に白毫銀針はうぶ毛の多い芽を使っているので茶葉が白く見えます。

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▲白毫銀針

いっぽう、2つめの“白茶”は白化茶種の緑茶、白みを帯びた茶葉を使って緑茶の製法で作ったお茶のことを指します。このタイプのお茶は、六大分類上は緑茶に含まれます。

白化茶種の緑茶で代表的なものは安吉白茶です。このお茶のややこしいところは緑茶なのに名前が白茶である、というところ。

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▲安吉白茶

2つの“白茶”の見分け方


この2つの“白茶”をざっくり見分ける簡単な方法は六大分類の白茶の種類を覚えてしまうこと

六大分類の白茶は日本でも手に入りやすい代表的なところだと、白毫銀針、白牡丹、寿眉あたりです。

いっぽうの白化茶種の緑茶で代表的なものは安吉白茶。こちらのタイプは近年中国各地で新興産地が増えてきていて、名前も正安白茶、黎平白茶など茶葉の名前が「○○白茶」というスタイルのものが多い傾向です。

  • ひとまずメジャーな六大分類の白茶の名前を覚えておく
  • 「○○白茶」は緑茶である可能性もあることを念頭に置いておく

そのため現時点では「○○白茶」という名前の茶葉は白化茶種の緑茶タイプのお茶に含まれるものが多い、ということができます。

しかし、六大分類の白茶にも桑植白茶などマイナーな茶葉があり、それらの名前はもれなく「○○白茶」というスタイルです。こうなるともう名前だけでは見分けがつきません。

厳密に見分けようとすると、各銘茶の標準(中国語)の内容を確認する必要がでてきます。それはかなりマニアックな作業なになるので、わたしのオススメとしては

こんな感じでいいかなと思います。もし謎の「○○白茶」と出会ってなんだこれ?と思ったときは、わたしのLINEへご連絡いただいてもOKです。リサーチしてみます。

白化茶種の緑茶がおもしろい

中国国内では白化茶種の緑茶が盛り上がっています。

そもそも白化茶種とは、特定の茶樹の変異体です。品種改良の研究を進めている中で発見され品種化されたと言われています。

華茶安吉白茶白化新梢

白化茶樹の葉は常に白みを帯びている、というわけではなく、特定の条件の下で新芽の葉緑素が欠乏することでみられる現象です。

また色素含有量の違いによって白ではなく黄色みを帯びる黄化品種もあり、こちらも近年注目を集めています。浙江省麗水市の縉雲黄茶(しんうんきちゃ)に代表される「黄金芽」や、日本では黄金みどりが有名ですね。

どんな条件で茶葉が白くなるのか?

現在の研究では、特定茶種の葉の色が変化する条件によって4タイプあるとされています。

  1. 低気温で色が変わるタイプ(低気温敏感型)▶︎安吉白茶(白葉一号)など
  2. 高気温で色が変わるタイプ(高気温敏感型)▶︎研究開発中
  3. 自然光の強さで色が変わるタイプ(光照射敏感型)▶︎黄金芽など
  4. どんな条件でも色が変わるタイプ(光温不敏型)▶︎研究開発中

1.低気温で色が変わるタイプ(低気温敏感型)

低気温敏感型の白化茶樹は気温が低い(20℃以下)春の間に、白みを帯びた芽を出します。しかし気温が高くなるにつれて、芽葉の白さがなくなり、通常の茶葉と同じような緑色になります。(臨界温度は23℃前後)

代表的な品種は「安吉白茶」(白葉一号)、「四明雪芽」(小雪芽)、「千年雪」、「更楼白茶」です。

2.高気温で色が変わるタイプ(高気温敏感型)

気温25℃以上で芽葉が白みを帯びる変異も一部で確認されていますが、サンプル数も少なく、同じ条件でも翌年は白くならないケースもあるなど再現性が低い状況です。今後の研究が待たれます。

3.自然光の強さで色が変わるタイプ(光照射敏感型)

このタイプは気温との関連性は少なく、おもに自然光の強さに反応して芽葉の色が変化します。芽葉の色が白というより黄色みを帯びるため黄化品種とも呼ばれています。代表的な品種は「黄金芽」「金光」「郁金香」です。

華茶黄金芽新梢

4.どんな条件でも色が変わるタイプ(光温不敏型)

気温や光の強さに関係なく、どんな季節でも芽葉が白みを帯びるタイプの白化茶種も発見されています。が、現時点では色の変化の程度も不規則で、ものによって差が大きく不安定な状況です。今後の研究が待たれます。

白化茶種の緑茶の特徴

安吉白茶に代表される白化茶種の特徴はなんといってもアミノ酸含有量の高さ!またカフェインの含有量も低いため、味わいとしては渋みひかえめでうまみを強く感じる、新鮮で爽やかなイメージのお茶になります。

ただし、カフェインによるお茶特有の渋みはお茶の味わいの輪郭を決めてくれています。その渋みが少ないことで場合によっては、ぼやけた味わい(何か物足りない)と感じることもあります。

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どんどん増える白化茶種のお茶!

日本ではまだあまり聞きなれない白化茶種の銘茶をいくつかご紹介します。

正安白茶

貴州省北部・正安県の海抜800〜1100mで生産される白化茶種(白葉一号)を使った緑茶製法のお茶。標準で遊離アミノ酸総量5.5%以上(特級は6.5%以上)と規定されています。揉捻の方法によって松針形と扁形の2タイプに分かれます。

華茶正安白茶

DB52/T 835-2015 地理标志产品 正安白茶
http://down.foodmate.net/standard/yulan.php?itemid=44633

DB52/T 1016-2015 地理标志产品 正安白茶加工技术规程
http://down.foodmate.net/standard/yulan.php?itemid=44634

靖安白茶

江西省靖安県の特産(中国国家地理標志産品)。茶葉の収穫〜生産が行われるのは年に1回、清明節前後の約20日間のみ。揉捻の方法によって条形、扁形、巻曲形の3タイプに分かれます。標準に規定されている遊離アミノ酸総量は5.0%以上。

華茶靖安白茶


DB36/T 712-2018 地理标志产品 靖安白茶
http://down.foodmate.net/standard/yulan.php?itemid=53414

黎平白茶 

贵州省黔東南苗族侗族自治州黎平県の白化品種の緑茶。少数民族の収入を増やす目的で生産拡大が進められているようです。

貴州省平原鎮で白化茶種の生産拡大中

貴州省平原鎮台頭村、2017年に白化茶種の苗を植えて昨年初めての収穫を迎えたそうです。こちらは除草作業の様子。

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平原鎮ではこの台頭村の周辺エリアでも茶の栽培を始める農家が増えているため、加工工場の生産能力を向上させるための投資も同時に進めていく計画とのことです。

華茶、生産体制

参考元:纵深推进农村产业革命|贵州这个镇今年开采7500余亩白茶

(おまけ)仁化白毛茶

広東省仁化県の特産。こちらは白化茶種ではなく、福鼎大白茶のように芽がうぶ毛に覆われて白く見える品種のこと。この茶葉を使った製法は緑茶と紅茶があります。

華茶仁化白毛茶


DB44/T 1687-2015 地理标志产品 仁化白毛茶
http://down.foodmate.net/standard/yulan.php?itemid=60721

参照元:新梢白化茶树品种的分类及其基本特征
https://www.puercn.com/zhishi/97060/

コラム:ゆえじの雑感

今回ご紹介した白化品種のポイントは低気温で色が変化すること。気温23℃を超えると茶葉は白から通常の緑色に戻ります。つまり、春を過ぎて気温が上がってくると白くなくなってしまうのです。

「安吉白茶って言うほどそんなに茶葉白くなくない?」と感じたことがあるかもしれませんが、その茶葉は収穫時期が清明節を過ぎた明後茶や雨前茶だった可能性が考えられます。

白化品種の本領が発揮されるのは明前茶、ということですね。
(つまりお値段も高くなる…)

今回ご紹介した白化品種の緑茶のように、製法でカテゴライズしている従来の六大分類の枠を超えた発想のお茶が増えているのは、なんというかさすが中国茶の本場、とてもダイナミックで面白いですよね。

ただまあ、白茶という名前の緑茶、わたしたち消費者としてはやっぱりちょっと分かりにくいので、名前の付け方は工夫してもらえると嬉しいですけどね。

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