月餅と中国茶のペアリング

こんにちは、中国茶ライフスタイル文化協会代表理事の越智(ゆえじ)です。

今回の記事のテーマは「月餅と中国茶」です。

2021年の中秋節は9月21日

日本にも「中秋の名月」を鑑賞する文化がありますが、中華圏では「中秋節」といって春節に次ぐ大事な歳時のひとつです。満月を鑑賞しながら月餅を食べる家族だんらんの1日となります。

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中秋節はもともと秋分の日だった

月を祭る風習はもともと「祭月節」といい、干支歴(かんしれき)二十四節気の秋分の日に行われていたと言われています。

しかしこの日付は旧暦の場合、毎年変わってしまうため、必ずしも満月になるとは限りませんでした。

そのため、満月になる旧暦8月15日に「祭月節」を移動させたのがはじまりです。

月餅の歴史をざっくり紹介

中国には古代から月を祭る習わしがありました。月餅もおなじく、月へのお供物として長い歴史があります。

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「月餅」という言葉が登場する現存する中でもっとも古い文献は南宋時代、呉自牧の「夢梁録」。

しかし、月餅の原型はそれよりも昔、漢代以前から始まり、唐代には中秋節に食べる供物として定着していたと言われています。

宋代には宮廷や貴族の間で普及します(一説にはこの頃すでにバターと砂糖を使う月餅もあったとか)。

明代になると月餅を食べる習慣は庶民にも広がり、清代以降は月餅の種類もより多彩に発展しつつ現代に至ります。

月餅はナッツの栄養がいっぱい

月餅の餡の多くは、小豆、蓮の実、桃の実、ナツメなどが原料に使われます。

こうした植物性の種子は不飽和脂肪酸、特にオレイン酸、リノール酸を多く含むため、血流をサラサラにし、動脈硬化を防ぐ作用があります。

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また、中医学的な観点からも、からだをあたためる効果、リラックス作用、アンチエイジングなどさまざまな効果が期待できます。

本場・中国にはいろんな形の月餅がある!

実はひとくちに「月餅」といっても、中国各地でその個性はさまざま。ここでは各地の伝統的な月餅と新しいスタイルの月餅をご紹介します。

1.伝統的な月餅

さすがは中国広し!わたしも食べたことないものばかりです。

▶︎広東タイプ:
わたしたち日本人がイメージする月餅といえばこの広東タイプ。薄い皮の中に餡がたっぷり、そしてややあぶらっこい。同じ広東省でも潮州にはまた独自のスタイルの月餅があります。

広東式月餅

▶︎潮州タイプ:
広東タイプと比べると脂っこさや甘さが控えめ。餡は緑豆や紫芋などさまざま。

潮式月饼

▶︎蘇州タイプ:
江蘇省や浙江省で親しまれています。くるみ、スイカの種、松の実などナッツ類を使いつつ、あんこを使った甘い味わいのものからハムを入れる肉まん風のものまでいろんな種類があります。

苏式月饼

▶︎山西タイプ:
黒糖、卵と小豆、ナツメなどが主な原料。他のエリアの月餅と比べて平べったい形が印象的。

晋式月饼

▶︎北方タイプ:
サンザシや棗をつかう白月餅、ナッツを使う紅月餅など多彩。

北方紅月餅

▶︎雲南タイプ:
雲南名産の滇式ハムを餡に使うのが特徴。蜂蜜や砂糖も使うので甘塩っぱい風味だとか。

滇式月饼

2.新スタイルの月餅

▶︎洋風の月餅:
チーズ、チョコレート、ブルーベリー、クランベリー、チェリーなど様々な味があります。

▶︎氷皮月餅:
皮の主な原料がもち米なので白い見た目をしています。「雪見だいふく」のようなもちもちした食感が特徴。要冷蔵です。

冰皮月饼


▶︎茶葉月餅:
主流は抹茶味のようですが、烏龍茶などさまざまなお茶味の月餅があります。ちなみに餡は茶葉を使うタイプと茶液を使うタイプの2種類があるようです。

香港にも茶葉をつかった月餅いろいろありました。

ペニンシュラ
鉄観音、アールグレイ、イングリッシュ・ブレックファスト、ライチ紅茶

ペニンシュラ月餅

天仁茗茶
鉄観音×クランベリー、紅茶×マカデミアナッツ、烏龍茶×ミックスナッツ

天仁茗茶月餅

LIFETASTIC
宇治抹茶、アールグレイ、台湾紅茶の3種類

LIFETASTIC月餅

茶葉月餅は人気みたいで予約販売のものや既に売り切れているものが多かったです。中秋節の1ヶ月前くらいからリサーチするのがおすすめ(油断していたわたしはすっかり出遅れてしまいました…)

月餅と中国茶のペアリング

中国でも月餅にお茶を添えるのは一般的で、さまざまなペアリングアイディアがあります。ここではわたしの主観も含めて、いくつかオススメのペアリングをご紹介します。

もちろん、何をおいしいと感じるかは人それぞれ。最終的にはみなさんが好きなお茶と合わせて召し上がるのが一番おいしいペアリングになると思っています。

月餅にオススメ中国茶ランキング!

※しっかり甘くてほんのりしょっぱい本場の広東式月餅(卵の黄身入り)とのペアリングです(ゆえじちゃんこ調べ)

月餅4

第5位:普洱生茶
ややツンツンした渋みのある生茶。甘い月餅を食べた後に飲むと口の中がものすごくスッキリします。相乗効果というよりは味わいを相殺しているようなイメージ。

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第4位:安吉白茶や黄山毛峰などの烘青緑茶
お茶の味わいが繊細なのでどうしても月餅に負けてしまいますが、口の中には心地よさが残ります。意図的に濃いめに出して渋みを引き立てるのもいいかも。

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第3位:普洱熟茶
月餅の甘さと普洱茶のコクが溶け合って相乗効果でふわっと拡散するイメージで。ただし、選ぶ茶葉と月餅の組み合わせによってはあぶらっこさが目立ってしまいそうな雰囲気も感じました。相性がよければお互い高め合う、相性が悪いとお互いの持ち味を潰しあってしまうような、ハイリスクハイリターンな組み合わせ。

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第2位:鳳凰単叢
ほどよい単叢の渋みで口の中がスッキリします。月餅のしっかりした甘さとお茶のフルーティーな香りが溶け合って鼻から抜ける感覚が心地いいです。

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第1位:濃香鉄観音
発酵も火入れもしっかりめの鉄観音は、味わいがしっかりしているのでガツンとくる月餅の味にも負けません。本場の広東式月餅のあぶらっこさをスッキリ流してくれるので次の一口が進みます。月餅とお茶の味を感じる比率がちょうど1:1になるようなバランスの良さが魅力。

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月餅と合わせるのにいちばん穏やかなペアリングとして雅安蔵茶もピックアップされていました。

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雅安蔵茶は古くからチベット(西蔵)向けに輸出されていた黒茶の一種。クセはまったくなく穏やかで飲みやすく、煮出して飲むとコクが出ておいしくなるお茶です(ほうじ茶のようなイメージ)。

やさしい味わいの月餅にはやさしめのお茶を

あくまでわたしの個人的な感覚ではありますが、日本で売っている月餅は、日本人にも受け入れやすい和菓子のようなやさしい味わいのものが多い印象です。

そこまであぶらっこさが気にならない月餅の場合は緑茶清香系烏龍茶の方がより自然に溶け合うかもしれません。

コラム:ゆえじの雑感

わたしが滞在している香港では中秋節の1ヶ月前ごろから月餅を贈り合う文化があります。それなりの人間関係があれば自分で買わずとも自然と月餅が集まってくるのです、…それはもう食べきれないほどに。

スーパーやデパートへ行くと催事場でいろんな種類の月餅が売っていてあれこれ目移りするのですが、家にある月餅の量を考えると…気になるものがあってもなかなか買えないのがもどかしいところです。笑

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↑ちなみに義理の父が送ってくれたのは重量1kgというビッグサイズの月餅でした。まさかこんなホールケーキみたいな月餅まであるとは!

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