【中国紅茶の解説】種類・おいしい飲み方・生産エリアの紹介

こちらの記事では、中国茶の一つである紅茶について、生産エリアや代表的な銘茶、美味しく楽しむ方法などをまとめています。

中国紅茶とは?

紅茶は世界全体の生産量が最も多く、様々な国や地域で愛されているお茶です。

中国の紅茶は渋みや苦みが少ないので、砂糖やミルクを入れなくてもストレートでおいしく飲むことができます。

紅茶は品種と製法の違いでさらに分類することができます。

品種による分類

  • 大葉種紅茶

  味が濃く渋み強め、水色も深い

  • 中小葉種紅茶

  味が薄く渋み弱め、水色も淡い

製法による分類

  • 紅砕茶(こうさいちゃ)

 揉んだり切ったりして茶葉が細かく砕かれている

  • 工夫紅茶(くふうこうちゃ)

  揉捻などによって茶葉が条形に成形されている

  • 小種紅茶(しょうしゅこうちゃ)

  茶葉が条形で、松の煙で燻製されている

ちなみに、より中国人好みなのは中小葉種をつかった工夫紅茶です。

主な生産地は、福建省、安徽省、浙江省、江蘇省、江西省、湖北省、湖南省、雲南省、貴州省、四川省、広東省、広西チワン族自治区、台湾など。

中国紅茶の歴史

中国での紅茶づくりはもともと欧米向けに輸出用するのが主な目的でした。第二次世界大戦後も外貨獲得という目的のため政策的に生産されていて、紅茶は中国人自身が飲むお茶ではありませんでした。

2006年、中国人の嗜好にあわせ渋みを抑えた紅茶・金駿眉が登場したことで中国国内で紅茶ブームが到来。近年も新たにつくりはじめる産地が増えており、現在はさまざまな個性をもった紅茶を楽しむことができるようになってきてます。

中国紅茶の楽しみ方

中国紅茶をかんたんに飲む方法

がぶ飲みするなら、大きめのティーポットや急須に茶葉をたっぷり入れて、1~2分蒸らして。時々ふたを開けて、水色の様子を確認すると安心です。水色の濃さで味の濃さも分かります。時間よりも水色に注目するのがコツ。

中国紅茶をていねいに淹れる方法

オススメはやっぱり蓋碗です。お湯の注ぎ方次第で、同じ茶葉も全然違うお茶になります。

ゆっくりお湯を入れて待つと、深みのある上品な味わいに。茶葉に直接当てないように勢い良くお湯を入れてさーっと抽出すると、広がりのある爽やかな味わいになります。

中国紅茶をさらに楽しむ方法

熱湯ではなく70度くらいに冷ましたお湯を使ってみると、渋みが抑えられて味も香りもとっても甘くなります。リンゴみたい!日本茶でいう玉露のようなイメージです。

中国紅茶の生産エリア

主な生産地は、福建省、安徽省、浙江省、江蘇省、江西省、湖北省、湖南省、雲南省、貴州省、四川省、広東省、広西チワン族自治区、台湾など。

中国紅茶産地
中国紅茶の産地

中国紅茶の製造工程

紅茶の製造工程
紅茶の製造工程
  • 摘採(てきさい/ツァイジャイ):茶葉を摘み取る工程。一般向けの茶葉は機械を使って刈り取ることが多い。高級茶や芽茶は人力による手摘み。
  • 萎凋(いちょう/ウェイディアオ):茶葉の水分を蒸発させて、萎れさせる。日光に当てる萎凋を「日光萎凋」、室内で行う萎凋を「室内萎凋」と区別している。
  • 揉捻(じゅうねん/ロウニエン):機械や手を使って茶葉を揉んで形を整える工程。発酵を促し風味を高める効果がある。紅茶の場合、より強い圧をかけて揉み込む場合は揉捻ではなく「揉切」と呼ばれる。
  • 転色(てんしょく/デュアンサー):茶葉の発酵を途中で止めることなく最後まで促す工程。紅茶製造時のみに使われる言葉。「転紅」ともいう。
  • 乾燥(かんそう/ガンザオ):茶葉を乾燥させる。

代表的な中国紅茶の種類

英徳紅茶

英徳紅茶 茶葉
  • 英徳紅茶(えいとくこうちゃ / Ying De Hong Cha)

産地は広東省英徳市。雲南大葉種を使って1959年に開発されたお茶。現在は様々な品種を使って作られているが、雲南大葉種の群体種の中から選抜された英紅九号が主力品種となりつつある。味わいの特徴は雲南紅茶に似ている。ライチの香りを付けたフレーバーティーも人気。

越紅工夫

  • 越紅工夫(えっこうくふう / yue hong gong fu)

越紅工夫の産地は浙江省紹興市。中華人民共和国成立後、外貨獲得のため生産量を拡大し、主に旧ソ連向けに大量に輸出された紅茶。

祁門紅茶

祁門紅茶 茶葉
  • 祁門紅茶(キーマンこうちゃ / Qi men hong cha)

産地は安徽省黄山市祁門県。伝統的な中国十大銘茶のひとつ。祁紅、祁門工夫とも呼ばれる。紅茶の中では特に100年以上の歴史ある銘柄。輸出量も多い。インドのダージリン、スリランカのウバと並び、世界三大紅茶と称される。

九曲紅梅

九曲紅梅 茶葉
  • 九曲紅梅(きゅうきょくこうばい / Jiu Qu Hong Mei)

産地は浙江省杭州市西湖区銭塘江畔一帯。もとは福建省武夷山から伝わった製法のお茶。水色が紅梅のような鮮やかな色であることが名前の由来とも。獅峰龍井とともに「一紅一緑」といわれ、古くから西湖周辺を代表する銘茶となっている。

金駿眉

金駿眉 茶葉
  • 金駿眉(きんしゅんび / Jin Jun Mei)

主な産地は武夷山国家級自然保護区。原産は福建省武夷山市星村鎮桐木関。紅茶に値段がつかず売れなくなっていた時代を打開するために開発された。

芽の部分だけ使うことで渋みを抑え、中国的高級茶のイメージに合うお茶となった。花やフルーツのような甘い香り、味わいは透明感があって冷めると甘みを強く感じる。

湖紅工夫

  • 湖紅工夫(ここうくふう / hu hong gong fu)

湖紅工夫は湖南省安化県を中心に広く生産されている紅茶。19世紀から20世紀にかけてイギリスに向けて大量に輸出されていた。

信陽紅

  • 信陽紅(しんようこう / xin yang hong)

信陽紅は、もとは「信陽紅茶」と呼ばれていたものが後に改名されたもの。主な産地は伝統的な中国十大銘茶の一つである信陽毛尖と同じく河南省信陽市の浉河区、平橋区、和羅山県一帯。2010年頃から生産されるようになった。

正山小種

正山小種 茶葉
  • 正山小種(せいざんしょうしゅ / ラプサンスーチョン / zheng shan xiao zhong)

産地は福建省武夷山市星村鎮桐木関。世界で初めて作られた紅茶。非常に強い燻香が特徴で、ハマる人はハマる。その香りはスコッチウイスキーや正露丸、乾燥龍眼などに例えられる。近年ではスモーキーさを抑えた飲みやすい味わいのタイプが主流となっている。

宜紅工夫

  • 宜紅工夫(せんこうくふう / xuan hong gong fu)

宜紅工夫の産地は湖北省鄂西山区の宜昌市、恩施市一帯。宜昌は陸羽の《茶経》にもその名が登場するほど歴史の古い茶産地。紅茶が生産されるようになったのは19世紀中頃、イギリスとの茶葉の通商が始まって以降のこと。

竹海金茗

  • 竹海金茗(ちくはいきんめい / zhu hai jin ming)

竹海金茗の産地は江蘇省宜興市茗岭岭下茶場で、緑茶の陽羨雪芽と並ぶ宜興市の銘茶。

滇紅

滇紅 茶葉
  • 滇紅(てんこう / Dian Hong)

雲南紅茶のこと。主な産地は雲南省南部および西南部。1930年代から作られ始めた比較的新しいお茶。芽の部分を使って製茶しているため金色の産毛が美しい。製法によって滇紅金針や滇紅紅碧螺(べにへきら)と名前を変える。

寧紅工夫

  • 寧紅工夫(ねいこうくふう / ning hong gong fu)

寧紅工夫の産地は江西省九江市修水県。修水県は古来「寧州」と呼ばれていたため、このの名がついた。紅茶が生産され始めたのは清代光緒年間とされている。

タイトルとURLをコピーしました